11/06/2009

不思議な記事

ちょっと古い記事だけど…「Linuxに勝てなかったPlan 9」
http://www.atmarkit.co.jp/news/analysis/200902/09/future.html
勝ち負けじゃないよね。目先がどこを向いてるかの違いだと思う。
Linuxは半年や一年単位でスケールがどんどん大きくなるエンタープライズ向け機器に合わせて
都度必要な変更が中心で非常に実利主義な物作りだと思うよ。

学術研究や天才の暇潰し的な「先進的技術」や「未来的技術」を生み出すことよりも
そういう誰かが生み出した概念なりアイデアを"実装"する事が関の山なのさ。Linuxは。
もちろんメインストリームの開発者以外のkernel開発者もいて、その中の人達は
僕らじゃちょっと考えつかないような難しい尖ったことを率先して考えてたりすることもあるけどさ。
けどそれも常識外れだけど眩しい新技術なんてもんじゃなくて、既存技術に対するブレイクスルーだったりするわけです。
逆に言うと記事にあるとおりprocみたいなものやUTF-8みたいなもの
規格や概念をkernelメンテナ達が集って頭かかえて生み出すか…といえば
ttyのエンバグについて喧嘩はじめたり、スケジューラの調整とか大規模システム向けのスケーラビリティについて
考えてるほうがよっぽどか彼等にとっては重要なんだと思います。
それが低俗だと言うわけじゃないし、勝ち負けやレベルの違いがあるなんて言うつもりはないわけです。
SEがPGがいて営業がいてとか、居酒屋があって飲み客がいてその人達の生態を研究する民族学者がいてとかっていう
違いなんだと思います。
Plan 9そのもの自体は完成と同時にUNIX系OSにとってかわるようなものを、目指していたんじゃないような気がするんですよね。
その研究成果や原理的発想に立ち返る重要性を周囲に知らしめただけで十分すぎるくらいに素晴しい成果を残したと思う。
procがそちこちのUNIX系に取り込まれたり、どのOSも当り前のようにUTF-8が使える世の中ができあがったこととか
あるいはftpfsみたいななんでもファイルシステムという考えはFUSEに対して非常に大きな影響を残したわけだし
そういう技術そのものや概念や技術を広めて浸透させ利用されているというだけで私は他のどのOSに対しても
優位な部分を持っているんだと思うよ。記事にそって言えば勝ち、勝っている部分を持っていると言えるよね。
Plan 9みたいな置き換えのために現状を大きく変えるまたは捨てることを要求する物は
商業的にはまず間違いなく成功しないよね。だってリスクやコスト高すぎるし、それに見合う先進性なんて
一体どの程度求められるかと思うと計り知れない。少なくともPlan 9にはそれは出来ない。
Linuxだって、そのために全部捨てて更に買戻す作り直すための費用を要求するくらい
既存のものと違っていたら、きっと今みたいになっていないよ。
この記事は暗黙的な前提として勝ち負けの基準を商業として書かれてると思う。
商業に囚われず考えれば、存在意義でいえばPlan 9はほかのOSや基礎技術の向上への貢献という意味合いで
非常に存在価値が大きい、商業的発想に囚われずそのような新しいものをどんどん生み出していってくれたらと思うよ。
Linux関連会社も出資すれば?って思うよ。恩恵沢山あるんだしさ。
その行く末に商業的成功も無くはないと思う。ただしもう仕事で触るのはLinuxで手一杯な人達ばかりだろうから
そういう人達を説得できる何かを生み出すのは難しいよね。

デスクトップがWindowsなりMacなりの形に沿ってないと、もうまず受け入れられないと同じでさ
良いから流行るんじゃなくて、せめて同じじゃないと見向きもされないんだと思うよ。
カーソルという概念やアイコンという概念を排した新しいデスクトップなんて例えば生れて話題にのぼったとしても
一部の物好き達がチヤホヤするだけで、「すっげー技術出てきたね!」ってだけで終るんだよね。
もしそれが一般化するとしたら、既存技術の致命的な癌をリスクなく克服できるとか
微かなリスクを上回る多大なるメリットがないと難しい。だって今だってWinやMacのそれとか、KDEやGNOMEのそれで
十分なんとでもなってるんだもん。足りないものは継ぎ足せばいいくらいでさ。
新しくて凄くて良い物だからって、手放しで受け入れられるほど人は物に飢えてない。
まだデスクトップっていうコモディティができあがる前の黎明期なら、十分そういうものの価値はあるけどさ。
既にWinやMacのそれがコモディティ化して受け入れられている以上、少々の不平不満や不便は慣れや技術の継ぎ足しでなんとか
なっちゃうんだもんね。

赤外線レーザーキーボード(http://park16.wakwak.com/~ex4/kb/main_vkb.htm)とかもすごいし
脳波マウス(http://www.ocztechnologyforum.com/forum/showthread.php?t=38413)もすごいけど
いくら凄いからって、既存のマウスやキーボードにとって変るわけじゃない。
それは既にパソコン使う人が普通のキーボードやマウスに習熟しているし、そのノウハウは継承できる形で
人々に伝えられている。これも1つのコモディティ。そうじゃないものをキワモノ=一般的じゃない。
っていう理屈でやっぱりみんながみんな使うわけでも、これが数億数兆円市場に大発展なんて事にはならない。

新しい物が何かを置き換えるとすれば1例としてMP3プレイヤみたいなシリコンオーディオが
他のポータブルオーディオに勝っている話を持ち込むと
カセットなりMDなりDATがポータブルオーディオのデファクトとして成立しなかったことが
シリコンオーディオを勝たせた要因のひとつ、メディアの劣化や音飛びやモーターを内臓することによる
バッテリ駆動時間の限界や製造コスト、あとメディアよりは絶対に小さくなれないサイズ的限界
などなどの要因から作る側にも使う側にもカセットやDATやMDを代りに処分してでも買い換えるメリットが
一時期から発生したわけですよ。その一時期はメモリの大容量低価格化に伴うシリコンオーディオの容量増加低価格化。
もっと込み入った事情もあるし、法的にマズいメリットもあったけれどね。ただみんながみんなそれを作り使うほど
となるとやっぱり一番は使い勝手よね。
MDは当初は音質がヒドかった、DATは高かった、カセットはもううんざりだった
中でも使い手のあるMDが一時的に勢力を延した
けれど、それより携帯性にすぐれ音飛びもなく乾電池や内臓バッテリで十数時間稼働するポータブル機としてMP3プレイヤが出た
高いのでまだ人はMDを使った、音質が我慢ならない人は音飛び覚悟でCDプレイヤを持ち歩いた。
そうしているうちにメモリが非常に安くなった。マイクロドライブ搭載のipodの登場によりシリコンオーディオへの抵抗がみな下った。
耐久性や駆動時間の増強、携帯性を求めて市場はマイクロドライブよりもメモリの搭載を望んでいった。
メモリの低価格大容量により、MP3でも高音質な状態で沢山の曲を長時間聞けるようになるとMDの役目も失われていった。
挙句にパソコンがなくてもMP3なりAACで楽曲を転送できるコンポやダイレクトレコーディングに対応してくると
もはや垣根はなくなったね。
さらに言えばパソコンなりコンポなりというものを利用することでMD、CD、カセットなりなんなりという資産から
移行ができるというメリットがあった。CDからMDへの移行のようなかさばるものじゃなくて魔法の小さい入れ物に
CD何十枚という単位で入れられるという利便性があったわけで、商業的にも技術的にも勝っていたと言える。
今では移行しないメリットはないといっても過言じゃない(ポータブルオーディオという観点だけで見れば)。
この成功の背景にあった技術革新はポータブルオーディオのためのものじゃなくて
既存技術の応用と転用から生れた副産物なんだよね 結局。それが新しい物の発展に役立った。
全く新しい概念を持ち込んだわけではない。要するに問題を工夫して解決した結果がシリコンオーディオ。
それが受け入れられた。昔っから技術的な目新しさはないよね。

Plan 9もUNIXの問題点を改善した素晴しいOSだけど、MDに対するシリコンオーディオみたいな
強烈なアドバンテージと移行の容易さや、移行する事自体がメリットになるような事実があれば
流行るのかもしれないけど、OSっていう性質上そういうのをアピールするのも生み出すのも難しいよね。
Linuxは最初っからそんなことしようともしていない。移行は楽です、物は違いますが互換してます。
そして物自体はタダですみたいな売方だったから売れたわけでさ。
そうして手をつけはじめ大手達が金と技術出しあって既存のUNIXよりも安くていいものにしていこうと
しているだけ。
どっちが勝ちで、どっちが負けで、どっちに価値があったかを商業だけで考えたらいけない。
技術的な価値で言えばPlan 9の方がOSの基礎技術向上によほど寄与していると思うよ、
あとSunのSolarisのZFSとか、SGIのXFSとかさ。いずれの概念も技術的手法もそのまま取り込まれたり
応用発展させる形で取り込まれてる。そういう先に走っていた人がいない限りその背中を見て追い掛ける
Linuxもありえなかったわけだからさ。

No comments:

Post a Comment

WSKY Bluetooth 5.0 トランスミッター レシーバー買いました

安くレシーバーモードでapt-x HDが使えるものというと非常に限られますが そのなかで高音質と評判のよかったものをということで購入しました。 音質は安いなりですね、apt-x HDで接続されている状態でも元がなんであれ痩せた音になります。 SBSにしか対応していない...